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インフォームドコンセントとは?/徹底解説!説明・選択・同意までの一連のプロセス

 

はじめに

インフォームドコンセントは、患者が治療方法を選択する前に十分な説明を受けて同意することを意味します。これは、患者と医療従事者が協力してより良い医療環境を築くために必要なことであり、患者の知る権利や自己決定権を尊重する重要なプロセスです。このブログ記事では、インフォームドコンセントの基本的な仕組みや倫理的課題、説明補助者の役割、意識不明の重症患者やがん患者への対応、治験への参加に関するインフォームドコンセント、インフォームド・リフューザル(拒否)について詳しく解説していきます。

インフォームドコンセントの基本的な仕組みと倫理的課題

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インフォームドコンセントでは、患者の知る権利や自己決定権を尊重し、患者・家族と医療職が互いに信頼し合い、患者の尊厳や権利を配慮したプロセスを行う必要があります。しかし、インフォームドコンセントには倫理的な課題も存在し、患者・家族が説明内容を理解できず、医療職が権利を尊重できない場合には合意形成が困難になることがあります。

インフォームドコンセントのステップ

インフォームドコンセントのプロセスは、まず医師が治療方針について患者に情報提供し、十分な説明を行います。次に、患者は理解した上で治療方針に同意または拒否する権利があります。このプロセスにおいて、医師は患者の立場や感情を十分に理解し、尊重する姿勢が求められます。

また、インフォームドコンセントの過程で、患者は医療従事者からより具体的な情報を求めることができます。重要なポイントは、患者にとって分かりやすい説明を心がけ、専門用語や難解な言葉を避けることです。

倫理的課題

インフォームドコンセントの倫理的課題としては、患者・家族が説明内容を理解できない場合があります。これは、医療従事者が専門用語や医療知識に偏って説明を行ったり、患者自身が病状によって情報収集や判断ができない状態にあることが原因となります。

また、患者が治療の選択肢を理解できても、医療従事者が患者の意思を尊重せず、自分の考えを押し付ける場合も倫理的問題が生じます。患者の自己決定権を尊重し、患者中心のケアを行うことが求められます。

説明補助者の役割

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説明補助者は、医師の説明に対する患者の反応を確認する役割であり、医療内容の確認や追加説明を目的としません。また、説明補助者は、患者の状況を観察しながら、専門用語の頻用や説明内容の難易度などについて医師に進言し、患者の理解を促す役割を果たします。

説明補助者の同席基準

説明補助者の同席対象には制限はありませんが、高難度新規医療技術や侵襲性の高い検査や手術、病名告知や予後の説明、治療方針の決定や倫理的配慮を要する問題などの場合には基本的に同席を求めることとされています。その他医療者が同席を必要と判断した場合にも、説明補助者の確認が必須とされています。

説明補助者は、医師からの説明を聞くことで患者の理解が深まることをサポートし、患者-家族が抱える不安や疑問に対して適切な対応ができるように努めるべきです。また、説明補助者は医療従事者としての立場を活かし、患者のニーズを把握し、情報提供や支援を行う役割を担っています。

説明同意取得の流れ

インフォームドコンセントを取得する際には、医師がナビゲーションマップからインフォームドコンセントテンプレートを取り込んで使用することが一般的です。説明補助者が同席する場合には、説明同意取得に同席し、医師が説明後署名したインフォームドコンセントテンプレートに職種や氏名を記載し、説明の有無や患者の理解度について記載します。説明補助者が同席困難な場合には、医師が署名した説明同意書やインフォームドコンセントテンプレートを原本として扱います。

患者への説明が十分でなかった場合や、患者が撤回を希望する場合には、再度説明を行い、患者の意思に基づいた適切な対応を行う必要があります。

意識不明の重症患者やがん患者への対応

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意識不明の重症患者やがん患者へのインフォームドコンセントには特別な対応が求められます。緊急時の患者対応が遅れないように留意しながら、適切な診療を行うことが求められます。

重症患者への対応

意識不明の重症患者においては、家族や代理人と連携して治療方針を決定することが一般的です。重症患者の状況が刻々と変化するため、迅速かつ適切な治療が必要となります。このため、医療従事者は患者の家族に対して十分な説明を行い、適切な同意を得ることが重要です。

また、患者の回復が見込まれる場合でも、治療過程で家族と連携し、患者の意思を尊重することが求められます。具体的には、家族と患者の意思や判断能力を確認し、治療計画を立てることが重要です。

がん患者への対応

がん患者に対するインフォームドコンセントでは、病状や治療方針を十分に説明し、患者と家族が納得できるように配慮することが求められます。治療期間や副作用、予後に関する情報も開示することが重要であり、患者の精神的負担を軽減するためにも、必要なサポートやケアを提供することが求められます。

またがん患者は治療の選択肢が多く、個々の患者に適した治療法を選ぶことが重要です。このため、治療方針の決定や変更においても、患者の意思や家族の意見を十分に聞き入れ、患者目線の治療計画を立てることが求められます。

治験への参加に関するインフォームドコンセント

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治験への参加をお願いする際に、患者さんの自由な意思に基づく同意を得るための手続きをインフォームドコンセントといいます。治験の目的や方法、期待される効果と副作用などについて十分な説明が行われ、患者は納得するまで質問することができます。治験への参加は強制されず、自分の意思で決めることができます。

治験の説明と同意文書

治験について説明する際には、治験の目的、治験薬の使用方法、検査内容、参加期間、期待される効果と予想される副作用、不参加の場合の不利益の有無、副作用による補償の可否、医療記録の閲覧者、担当医師の氏名と連絡先、質問や相談の問い合わせ先などが記載されている説明文書が用意されます。説明文書は分かりやすい言葉で書かれており、患者が納得するまで質問ができるようにサポートが提供されます。

患者が治験に参加することに同意した場合、同意文書に署名し、治験の説明文書と同意文書の控えが患者に渡されます。治験に関する情報は、患者のプライバシーを厳重に保護されます。

治験中止や撤回の権利

治験に参加した患者は、自由に治験中止や撤回を決定する権利があります。参加中止や撤回によって患者に不利益が生じることはありません。また、治験中止や撤回を検討する場合、担当医師や治験係のスタッフに相談し、十分な情報提供やサポートが受けられるようになっています。

治験中止や撤回に関する権利は、患者の自己決定権を尊重するという治験の倫理的基本原則に基づいています。治験への参加は患者の自由意志によって決定されるべきであり、その意志を尊重することが求められます。

インフォームド・リフューザル(拒否)

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インフォームド・リフューザルとは、十分な説明を受けた上で治療を拒否する権利を指します。法的能力や臨床的能力のある人は治療を拒否できます。また、治療を拒否する理由を特定し、患者の懸念を訂正できるかどうかを判断する必要があります。

治療拒否と自殺の意図

判断能力のある患者が治療を拒否しても、自殺を意図したものと解釈されるわけではなく、医師による自殺幇助と法的にみなされることもありません。しかし、患者が治療を拒否することによって、ほかの人に悪影響が及ぶことがある場合があります。医師は多くの場合、弁護士や裁判官、倫理的問題の専門家に相談することが推奨されます。

特別な配慮が必要な患者への対応

特別な配慮が必要な患者に対しても、インフォームド・リフューザルの原則が適用されます。これには、意識不明の重症患者やがん患者などが含まれます。このような患者に対しては、十分な情報提供とサポートを行いながら、患者の意思や家族の意見を尊重した治療を提供することが重要です。

他の医療専門家と連携し、患者のニーズや個々の状況に応じた適切な対応を行うことが求められます。これによって、患者の尊厳や自己決定権を守りながら、最善の医療を提供することができます。

まとめ

インフォームドコンセントは、患者が十分な説明を受けて治療方法を選択する重要なプロセスです。患者の知る権利や自己決定権を尊重し、患者中心のケアを提供することが求められます。また、説明補助者や治験への参加、意識不明の重症患者への対応など、さまざまなシチュエーションが存在するため、適切な対応が必要です。

最後に、インフォームド・リフューザル(拒否)についても理解し、患者が治療を拒否する理由や特別な配慮が必要な患者への対応を検討することが重要です。医療従事者は、患者の意思や権利を尊重した対応を行い、最善の医療を提供し続けることが求められます。