
転職支援をしていると、一番多く聞く悩みが「人間関係」のお悩みですが、
年間数150名以上の転職希望者を面談していると、1つの結論に達しました。
人の悩みには全て人間関係が起因しているということです。
いやいや、他にも色々悩んでいるんだ、悩みは人間関係だけじゃない!
と思われた方、本当にそうでしょうか?
以下を読んでいただければ私の考えの根拠をご理解いただけると思います。
意味を深く理解できれば人生観が変わる。
そんな名著のご紹介です。
紹介書籍
【嫌われる勇気】
タイトル:
岸見 一郎/古賀 史健
「自己啓発の父」と呼ばれるアルフレッド・アドラーが提唱する【アドラー心理学】を分かりやすく解説した書籍
2013年に出版後、200万分以上も売れている大ベストセラー本
されやすい人
みにモヤモヤしているひと
頑張っているのに、なぜか劣等感が消えない人
【嫌われる勇気】の結論
早速ですが、本書の結論を先にお伝えします。
本書で書かれている内容の本質的な結論は以下の2点に集約されます。
この結論は『現代人が幸せに生きるための考え方』である。
5分でわかる!
【嫌われる勇気】要約本書の結論を2点に絞りましたが、その根拠となる内容をポイント3点に絞ってご紹介します。
本書は約300ページでとても読みやすい本です。
ぜひ手に取って読んでいただきたいのですが、そんな時間はない!という忙しい現在人に向けて、5分でわかるように要点を絞ってお伝えいたします。
要点Ⅰ:行動の全ては原因論ではなく目的論から成る
要点の一つ目は「人の行動には原因はなく、あるのは目的のみである」という考え方です。
これだけを聞くと意味がわからないですよね?
大丈夫です。私も理解するのに何度か読み返しました。
ここでは理解しやすいように、具体例を挙げてお伝えいたします。
例えば、あなたが立ち寄ったコンビニで、店員が客に怒鳴られていたとします。
その光景を見たとき、大半の方は「コンビニ店員が何か重大なミスをしたのだ」と原因を考えます。
しかし、この考え方をアドラーは否定しています。
アドラー心理学では、この光景には「客側に目的があるのだ」と考えます。
怒鳴ることで、「加害者・被害者の上下関係をはっきりさせたい」「謝罪をさせたい」
「被害を補填するサービスを受けたい」
など、行動には「~したい」という目的が必ずある。というのがアドラーの考え方です。
<原因論的な思考>
事象 | 考え方 |
コンビニ店員が客に怒鳴られている | 店員が何か重大なミスをしたことが原因だ |
<目的論的な考え方>
事象 | 考え方 |
コンビニ店員が客に怒鳴られている | (客側が)相手を威嚇して、被った被害の補填(謝罪・値引き等)を求めたい |
事象によって違うだろ、と思われるかもしれませんが、それも違います。
なぜなら、同じ店員が同じミスをしても、そのミスを受けた人によって対応が変わるからです。笑って軽く注意する人もいれば、怒鳴り散らす人もいます。
それはミスの大きさや人柄の差ではなく、「何を目的としているか」の差なのです。
相手を威嚇したい人は怒鳴りますし、波風を立てたくない人は笑って済ませるでしょう。
ここからもわかるように、
人は【原因】ではなく【目的】で行動を決めているのです。
では、この目的論から何を学ぶか?
結論は「過去の原因」に縛られず「今の目的」のために生きなさい。
ということです。
先ほどの表のように、事象に対して、原因ではなく目的に目を向けられるようになると、行動が変わります。
例えば、よくある悩みにこの考え方を当てはめてみると、
悩み | 原因に縛られる考え方 | 目的に目を向けた考え方 |
友達が欲しいが、自分は根暗で人見知りだから友達ができない。 | 自分は小さい頃から人見知りで人と上手く関われたことがない。そのせいで根暗になった。だから今後も友達が少ないままだ。 | 今まで暗かったことは関係ない!友達が欲しいなら今この瞬間から人に明るく挨拶をするだけ。人見知りは今まで人と上手く関わってこれなかった言い訳である。 |
このように、過去の原因に捕らわれた考え方から脱却し、
自分のありたい姿(目的)のための行動を取れるようになるのです。
要点Ⅱ:課題の分離
要点の二つ目は、「自分の課題と相手の課題を分離する」という考え方です。
悩みの原因となる課題には【自分の課題】と【相手の課題】があります。
そのうちコントロールできるのは【自分の課題】だけれあり、【相手の課題】のようなコントロールができないことは、考えることすらも時間の無駄です。
本書にはこれを表現する例えばなしとして
「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」
というものが出てきます。
この場合、「せっかく水辺に連れてきたのに!なぜこの馬は水を飲まないのか。」
と悩むことは無駄だ、ということです。
と課題を分離すると、馬が水を飲むかどうかは馬次第で、自分の課題ではないためコントロールすることが出来ない。とイメージがつくでしょうか?
悩みが多い人は、この【自分の課題】と【他人の課題】を全て解決しようと悩んでいます。
課題の分離ができる人は、そのような悩み方はしません。
例えば、『会社で評価されない。こんなに頑張っているのになぜ評価されないのか』
とモヤモヤ悩んでいる人は多いと思います。
この考え方は、アドラーから言わせると全く課題の分離が出来ていません。
この悩みの課題を分離すると、「評価をするのは相手なので自分ではコントロールできない」となります。
では、自分の課題は何か。
それは、評価に値する実績を残し続けることです。
仮に、周囲に比べて圧倒的に実績を残しているのに、不当に低い評価を受けているとしましょう。
なおさら「なぜ自分だけ評価されないのか」と考えてしまいそうですが、あなたを評価するかどうかは【相手の課題】です。
この場合「不当に低い評価を受けている環境にいる」ことが【自分の課題】だと言えます。
【自分の課題】を解決するために、異動や転職を検討してください。
間違っても「不当な評価を訴えて、自分が評価される環境に変えてやる」なんて思わないでください。人は変わらないのです。
これは、本書のメインテーマでもあります。
課題の分離は言い換えれば、承認欲求を捨てることです。
承認欲求の奴隷になる人が多く、アドラーはこれを危険視しています。
先ほどの例のように「誰かに評価されたい」という【他人の課題】を軸に生きてしまうと、解決できない課題に悩まされることになるのです。
逆に言えば【自分の課題】を解決するために今何ができるかに常に全力で向き合えば、前向きに生きられるのです。
要点Ⅲ:上下関係を作るな
要点の三つめは「全て関わりに上下関係を付けるな」という考え方です。
アドラーは「人間の立場は皆対等だ」と言っています。
これは、学生でも社会人でも、組織に所属している人にはイメージしづらい考え方かもしれません。
上下関係を作らない具体的な方法として本書には『人を褒めるな』と書かれています。
なぜ、褒めてはいけないのか?
それは、褒めた側と褒められた側には上下関係が生まれ、褒められた側には承認欲求が生まれるからです。
褒められた人は、「また褒められたい」という承認欲求の奴隷となってしまいます。
では、頑張っている人・成果を出した人には、どのように声をかければよいのか?と思いますよね。
この点は、本書では「感謝を伝えましょう」と書かれています。
「ありがとう」という言葉は上下関係を生みません。対等な関係で感謝を伝えれば承認欲求は刺激されず、健全な関わりができます。
気を付けなければここでならないことは「感謝されたい」と思って行動しないことです。
感謝するかどうかは【相手の課題】なのでコントロールできないことは、前述の内容からイメージしていただけると思います。
まとめ
名著「嫌われる勇気」を要点三つに絞って解説しました。
過去や原因に行動を縛られるな。目的に目を向けて行動しましょう。
【自分の課題】と【他人の課題】に分けて考える。【他人の課題】は悩んでもコントロールできないので無視しましょう。
相手を褒めることは承認欲求の奴隷を作る。評価するのではなく感謝をしましょう。
ここまで読んだ方は、これまでの人生観に無かった価値を見つけられたのではないでしょうか?
まだまだ書きたいことはありますが、タイトルにある通り『5分で分かる』ために、内容を凝縮しました。
興味を持った方は是非本書を読んでみてください!
人生を前向きに生きるための手助けになる、そんな一冊です。
職場に悩みがある人へ
【相手の課題】はコントロールできないと書きましたが、文中の例に出したように会社で評価されずに悩む方も多いと思います。
そんな方は、上司や会社が変わるのを待つのではなく、転職も【自分の課題】を解決する手段だと述べました。
転職を考えている方の支援をしている身としては、この記事を読んで転職を考えるきっかけになればとも思っております。
転職の相談先は以下にまとめていますので、よろしければご覧ください。



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